HOME > 住宅ローンを借りようと思っている方 > 家づくりの失敗例(ケース3)不動産価格の推移を知っていたら
今の時代、『返済が厳しくなったら家を売却してしまえば済む』という話は通用しません。建物の評価は15年から20年でほぼゼロになります。それでも地価が値上りしていた頃なら、建物の価格下落を補ってもまだお釣りが来ましたが、もはや地価の値上りは期待できない時代です。今は建築後20年が経過した住宅を土地と一緒に売却すると、ほぼ土地代にしかなりません。
これに対し、35年返済でローンを組んだ場合、その残債額は一体いくらでしょうか(図表3 『ローン残債と不動産売却価格の推移』)。ご覧の通り、土地価格が25年後も変わらなかったとしても(実際は下がるケースが大半です)、土地建物の評価額以上のローンがまだ残っているのが現実なのです。つまり、売却しても、ローンを清算することができない時代なのです。
また現実には、土地よりも建物にお金をかける人がほとんどです。住宅取得費の割合を見ると『土地1に対して住宅2』となるケースが多数です。つまり、より評価の減りが大きい資産に対してお金を掛けている、多額の借入をしている実態があります。
住宅を取得するためにローンを組むのは仕方がないことだといっても、ローンを利用するなら、少なくともそのリスクは学んでおくべきです。10年後、20年後、30年後の不動産価格の推移、その時点の残債額をきちんと確認しておく必要はあります。もちろんマイホームを手放さずに済むための方策が第一ですが、どんなリスクがあるか分からない世の中です。その中で数千万円の買い物をするのですから、万が一の時の予備知識はあって然るべきでしょう。
【新築住宅のケース】
購入価格の内訳 | 資金計画 | ||
---|---|---|---|
土地 | 1,000万円 | 自己資金 | 200万円 |
建物 | 2,000万円 | 借 入 | 3,000万円 |
諸費用 | 200万円 | 固定金利 | 3.0% 元利均等35年返済 |
上の例は、住宅の新築取得費が『土地 : 建物 = 1 : 2』で、且つ総予算内の大半が借入という、20代〜30代の若年層の典型的な資金繰りパターンです。
住宅は取得後(所有権移転登記後)すぐに建設業者の利益相当額(建物価格の15%〜20%程度)が評価から減額されます。その後5年間で約半額になり10年で3分の1、20年ではゼロになります。すると、グラフからも明らかな通り、取得から25年もの返済を経てもまだ売却価格がローン残債額を上回ることはありません。つまり年利3.0%という低金利で25年間返済を続けた後に売却をしても、まだローンが残ってしまうのです。
このような資金(借入)計画での住宅取得は、返済終了までのほとんどの期間でいわゆる『オーバーローン』の危険が付きまとっていることになるのです。